はじめまして

ご訪問ありがとうございます。

こちらは公式な作品とはいっさい関係ございません。
思い立ったが吉日で始めてしまったブログです。
一人でも読んで楽しんでくださる方がいれば幸せです。

嬉しいコメントは、本人とても喜びます。
心折れやすいので、誹謗中傷はご容赦ください。
不快に思われた方は、申し訳ございません。
一目散に❌で閉じていただいて他者様の素敵なサイトへm(_ _)m
他の方の作品と酷似している場合は添削いたしますのでご指摘ください。

それでは、お見苦しいところもあるかと思いますが
お付き合いいただけたら幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。

スマホでは初期表示を10件にしております。
短編をご覧になる場合は、お手数ですが「カテゴリ」からご覧ください。
366日はサイトならではで何かできないかなぁと文章の練習と思って継続しております。
※366日はまずは、こちらをご一読ください。


◆2017年4月1日より定期更新に変更しました。
毎週水曜日、6時に自動更新
更新が無ければ、その1週間はお休みいたします。
(複数話あれば、同じタイミングで更新)


当サイトはリンクフリー・アンリンクフリーです。
サイト名:a time trip。
URL: http://azukiseini555.blog.fc2.com/

管理人:azu
(From:2016.6.28)

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

雑記


ご訪問ありがとうございます。
閲覧、拍手、コメントなど遊びに来てくださって嬉しいです(*´ω`*)


梅雨入りと宣言されたら晴れが続くという。
湿度が高いと不快指数が右肩上がりでございます。
春夏秋冬、どれもそれぞれうまく付き合って行きたいと思うのは毎年のことなんですけど、ふふふ。


さて本日でサイトを開設して1年が経ちました。
早いものですね、あっという間に。
開設した当初の毎日投稿していた狂った勢いはどこへやら(遠い目)
それも徐々に落ち着き、いまはマイペースにライフワークの一環として楽しく妄想をぶちまけてしまってます(笑)
お付き合いくださっているあなた様、顔を合わせて直接伝えることは難しいですが感謝しております。
始めた当初よりも少しは読み易くなってればいいなぁと。


1年を振り返ってみると、原作終了前後を行ったり来たりするのがやはり好きなようです。
二人で生き抜くと覚悟を決めた後でも拭えない不安はあるんだろうなぁと想像します。
でも冴羽さんはカッコいい男臭さそのままに、不器用な愛情表現で照れながら、フリでもいいから香ちゃんには尻に敷かれていてほしい。
香ちゃんは天然そのままに、パートナーとしてより頼もしく、愛されてよりたおやかで美しい人になっていてほしい。
二人のポジショニングは変わらないまま賑やかな日々を送り、お互いを守り抜いて人生を全うしてもらいたいという希望があります。
どうやっても二人は生き延びてそうなんですけども。


先日亡くなった方の報道を見て、ダウンタウンの松本さんが「美しい人」と表現されていました。
その言葉はまさにその方にぴったりだなと思ったんです。
私の香ちゃんのイメージも類似していて、年齢を重ねる毎に輝いて、冴羽さんはそれを浴びて幸せを噛み締めていてほしいなぁと。


サエバスキーだったはずなんですが、今はただただ香ちゃんが愛おしい。
いえね、もちろん初恋は冴羽獠というくらい大好きなんです。
なんですが、同じぐらい大好きになってしまったという不思議。
う~ん、なんでしょう(笑)


リクエストは何件かいただけました(ホッw)ので、通常と交えながら進めていけたらなと。
お題をもらって書くというのは初めてですので、少しお時間掛かってしまいますが気長にお待ちください(>_<)


少々バタバタしている最近、呑気に構えていましたら、少し先まであったストックも底を尽きてしまい。
てへへ(;´∀`)
7月は忙しくなる嫌な予感がしておりますので、申し訳ありませんが2~3週間お休みいたしますね。
広告が出る前に更新できたらなと。


今後も相変わらず隅っこで、もそもそもじもじもだもだ(笑)して行きたいと思います。
引き続き、こんな二人もいいかもね~ってな感じで可愛がっていただけたら幸いです。


それでは、少しお暇をいただくことになりますが、またのお越しをお待ちしておりま~す。












「ねぇ、獠。ここの管理人さんお休みするらしいわよ」
「へぇ、まぁ、いいんでないの?」
「あたしたちもしばらくお休みなんだってさ」
「それいつものこったろ」
「まぁ、それもそうね。うちのアパートの管理人は、毎日毎日暇そうにしてるけど」
「街の安全を見守るパトロールも大事なんだぜ」
「もっともらしい言葉並べられても、ただのナンパでしょうが」
「そうとも言う。さすが」
「見方変えれば、あんたが痴漢」
「バカ言え。ボクちゃんこれでも正義の味方よ。結構つおぃし」
「はいはい。あぁ、何か楽しいこと考えよ」
「じゃあ、休みの間、ナニする?」
「バイトでもしようかな。あ、ほらこの時期ビアガーデンでバドガールとかさ」
「けしからん」
「なんでよ」
「その大根足を見ながら食べる飯がうまいわけない」
「なっ」
「ついでにバドガールはナイスバディなセクシーダイナマイトが着るから価値がある」
「どうせ寸胴ですよーだ」
「そうそう正解」
「はぁ、眠くなっちゃった」
「お子ちゃまはお早いな」
「どうせ、お子様よぉぉぉだ」
「そういうのだろ」
「ふふ、じゃあね、獠。お先におやすみ~」
「あぁ」









「って、隣に寝てんのに勢いで誤魔化せると思ってんのか」
「…………すぴぴぃぃぃ」
「口で言うとるだろ」
「す…………ぴぃ」
「…………」
「……ぴぃ……」
「寝たふり上等」



もぞもぞ
ずりずり



「ちょ……(どこさわってんのよ)」



ずりずり
もぞもぞ



「ぴぃやぃっ!」
「起きた?」
「……起きて……ません」
「ふふ~ん(イヤでも起こしてやるさ)」



ずりずり
もぞもぞ



「ちょ、だから……」
「だ~から?」
「だから」
「寝ない」
「寝……ます……せん……♡」
「ん?」



すりすり
さわさわ



はぁ



「んじゃ、次の登場まではたぁぁぁっぷり暇だからぁ」
「って、ちょちょちょちょーっと待ったーっっっ」
「あんだよ」


すすすりりり
はぁ


「ナイスくびれ」
「……ズンドウって言ったの誰よ」
「わるかったよ」
「って……(後ろから囁くとか……)」



た、食べる前には…………



あん?



い、いただきますが鉄則……です……ょ?



んじゃ、まぁ



喜んで



美味しく



全力で



隅の隅まで



果てに果てるまで



いっただっきまぁぁぁす♡♡♡♡♡






(ねぇねぇ、そこのちみたちさっ)



ではではwww


関連記事

そんなある雨の日のこと



すぐ先も見えない程の激しい雨が降らなければ
未来は変わっていたかもしれない。


最期の力を振り絞って辿り着いた先が違う場所だったならば
今の未来は無かったかもしれない。


『もしも』を考えだしたら切りはない。
目の前にある今が事実。
変えられない現実は、過去を振り返ることでより明確化されてしまう。
イヤと言う程に。


伝えたい想いは溢れているのに。
強がることばかりが身についてしまって。
口から先に出る言葉は、その想いのほんの、ほんの少し。


上手な伝え方が分からない。
どう伝えれば正しく届くのか。
その術を探しても思い当たる答えが見つからずにいる。
手を伸ばしてしまえばいいのか、手を離してしまえばいいのか。
堂々巡りで。







梅雨が終わりを迎える頃、爽やかさなんて無縁なビル群の間を抜ける空気はねっとりと肌に絡みつく湿り気を含んで気分をも湿らせる。


相棒と名乗っていたひよっこがその兄を亡くして3年目のことだった。
俺の恋人と間違えられ命を狙われたのは、そのつい先日のこと。


それは迷惑な話というより、約束した預かり者に死なれては困るという言い訳を理由にして。
己の中で蠢いていた淡くじんわりと揺れる内心を確信せざるを得なかった出来事。





いつも通り午後の伝言板を確認した帰りのこと。
しとしとと降りだした雨を避ける人々を横目に、香は持っている傘もささずに信号待ちをしていた。
変わる信号を2度見逃して、隣に立ったサラリーマンに声を掛けられ傘をさし、3度目にやっと白線を跨いだ。

道向かいの小脇からその様子を見ていた獠は、その姿に声を掛けることができずに眺めていた。


目を離してしまっては、そのまま居なくなってしまうのではという思いが獠の頭に過る。
ついこの間まで追われることを余裕で見過ごせていたはずなのに。
自覚してしまった後には、それを追い越して、今度は徐々に追うことに変化してきている。
「まぁ、なんとかなるか」と軽い気持ちでその場をやり過ごしてみたけれど、己の視点の変化に自身で戸惑う。
その位置を戻そうにも、表現し難い見えないハードルが長い股下を駆使しても気軽に超えられないでいる。


香はそのまま横断歩道を渡り、花園神社の境内へと入って行った。
正門でない側から入り両サイドの木々に当たる雫を時折見上げていた。
生い茂る緑は晴れた日でも影を作る。
しかしこんな雨の日は、いつにも増して薄暗く遠くに見える。
奥に見える鳥居の朱色も影を潜め、もの悲しく褪せて映り。
鳥居の前で一礼してくぐり、吸い込まれるような後姿に思わず追う歩みが早くなった。
本殿への階段を一段一段確かめるように登っていく。


賽銭を入れて手を合わせ、瞼を落として願うことは何なのか。
ゆっくりと上げた真っ直ぐな瞳に映っているのは、目の前のものか、古い映像か、はたまた先の未来か。


獠は後ろからそれを眺めていた。
香はそのまま境内をぐるりと一回りして人気のないその裏で壁に背を預けて動きを止めた。
少し俯いたり、少し見上げたり、少し首を傾げてみたり。
よくある雨宿りのシーンではあるけれど、2回見送った信号での出来事が頭を過る。
獠は周りに不穏な気配がないことを確認してから、それ以上は見ないように反対側に身を寄せた。


(…………)
(…………)


勢いを弱めた雨とは反対に、屋根の縁から落ちる雫の存在感が増す。


(…………)
(…………)


香が動く気配を感じて、獠も預けていた背を静かに離してその姿を覗いた。


一度首を右に左にと動かした香は、一言小さく「よし」と頷いた。
そうして上げた横顔は、少し腫れた目元の跡を隠すかのように笑い皺を作っていて。
雨の上がった切れ間から落ちる明かりに目を凝らし眩しそうな後姿。
歩きながら伸びをして神社を後にするその姿をずっと眺めていた。
姿が見えなくなるまで。


ちっ、と無意識に小さな舌打ちをした自分に驚いて意識を戻す。
もどかしい己の内心への苛立ちから出てしまった、それ。
裏腹になだらかに打ち寄せる柔らかな安堵の波。


いつの間にか、獠は香のその姿に目を奪われていた。







最期に記憶した笑顔は当時のまま映像が残っている。
色褪せた映像フィルムを再生しても、そこに映し出される画像は彩を残す。
夢の奥に眠る記憶は、はっきりと意識のある日常ではその姿を辿れない。





なぁ、今ごろ何してる?
あんな別れがなければ、今もまだあの頃のままだっただろうか。
なぁ、あの時、あの場所に行かせなければ。
命を奪われずに済んだんだろうか。


なぁ、槇村。





ねぇ、今ごろ何してるの?
あのまま一緒に居られたら、今ごろ何してたのかな。
ねぇ、あの時、あの場所に居なければ。
命を落とさずに済んだのかな。


ねぇ、アニキ。





あの時、もしも雨が止んでいたなら―――――





今と同じ未来が待っていたんだろうか。





なぁ、香。
ねぇ、獠。





こんなに狂おしいほど愛しい想いを長く苦しく抱えることになる未来を。
まだあの時は想像してはいなかったのに。





愛したことが過ちだとしても―――――




もう後戻りはできないくらい、愛してる。





訪れる夏の眩しい光に似た、突き刺す熱さに身を焦がしても。
鎮火しない火照りを胸の奥底に潜めて。





数年経ってしまった今この時も、互いに可笑しな道化を演じ続けている。




揺らめく覚悟に向き合い、前に進めるようになるのは。
この年のホトトギスが花開く頃の出来事。




関連記事

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

searching for me




ひと雨過ぎた後の道々はアスファルトの匂いが濃く立ち上る。


ぴたっ
(…………)


男は立ち止まり振り返らずに、視線だけ後ろに流し背後の気配を追う。
少し前からつけられていることは気が付いていた。
ただその気配の漂い方は薄くなったり、そうでなくなったりを繰り返している。
男は振り止んだ雨雲が薄っすらと残る空を見上げながら、ゆっくりと歩みを進める。
流れる雲の晴れ間から落ちる太陽の光が、アスファルトに残る水たまりの表面に反射して角度によって眩しく跳ね返る。
使い込んで擦れたコートのポケットに両手を突っ込んだ男は、それをしなやかで筋肉質な長い脚で軽やかに跨ぎ飛ぶ。


(…………)
ぴちゃっ


背後の人物は男の動きより少し後から動き出した。


気配を消すことに注力すると相手の気配を追うことに遅れがちになる。
気配を追うことに注力すると自分の気配を消すことを忘れがちになる。


そして再び意識を集中して気配を消すことに努める。
男とはだいぶ距離を取っている、こんな遠くまでの気配は読みづらいだろう。
殺そうと殺気を出しているわけでもないのだから。
ただ黙って後をつけて行方を探れというのが、師匠から託された使命。
だから見つけたその姿を追ってここまで来た。
どこに行くのだろうと、男の生態は読めない。
夜昼と違う顔を持ち、側近であるパートナーとやらも本性は知らないらしい。
都市伝説化している噂を含め、気になるそれはいくつもある。


男が飛び越えた水たまりの前で立ち止まる。
一度見上げて空を確認すると、今度は下を向いて揺れる水面に自分の顔を映した。
そしてなぜか口元を緩めて、同じようにその程よく筋肉質な細い脚で軽やかに跨ぎ飛んだ。


男が次に立ち止まったのは、人が行き交う道沿いにあるお店の一角。
見つからないように影に身を潜めてその様子を眺める。
鋭い目つきで一点を見つめるその視線の先に何があるのかは、こちらからは確認できなかった。
相変わらずコートに手を突っ込んだまま、前屈みで少し眉間に皺を寄せ真顔で考え込むその姿は異様だった。
時折動く口元を見るに、何かを思案している様子。


(……し?……く?……しろ?)


一つため息を吐いて猫背のまま雑踏へと踏み込んで行く。
振り向き様に店の前にあるカーブミラーを、チラリと確認した視線の動きまでは気が付いていなかった。


男の姿を見失わないように足早にその後を追う。
立ち止まっていた場所を通り過ぎる時、思わず同じように立ち止まりその店内に眉を顰めた。


「…………変態」


ハッとして師匠との約束を思い出して気配を消すことに集中する。
そして踵を返して行き先を見失わないようについて行った。



不本意な事態で師匠とその奥さんの後ろを取る…という出来事があったのは1年程前。
あれは激高していて無意識に気配を消せていたようで、その後はなかなか訓練の積み重ねも必要で。
訓練の一環も兼て命じられた使命はもう何度目か。
本人にバレる回数もその間隔も少しは長い時間保てるようになってきた…と思いたい。



男が日課を熟す間も様々な鈍器が現れそうになるのを、じっと我慢している。
いつか気配に気が付かれずに、その手を取って死ぬほど驚かせてやりたいと思っている。


後ろに待機させた我慢(鈍器)の量に他の通行人が恐れをなしているというのは、懸命な可愛い男の相棒は気が付かないのだった。



***



「後付けるなんて悪趣味だな」
「うっ、いつの間に」


獠の後をつけて曲がろうとした角の手前で、少し上から知った声が降りて来た。
驚いて角を曲がる前に立ち止まり、そっと隅から顔半分だけ出してみると。
案外近くに相棒が居て、逆バンジーしているように胸が飛び跳ねた。
見上げると、獠は曲がったすぐの壁に背を預けて腕を組んでいる。
横目で見下ろされて、香は肩を竦めた。


「シティーハンターともあろう者が、こんな簡単にバレるようじゃなぁ」
「あんただってシティーハンターでしょうに」
「まぁね」
「あ~ぁ、最近ちょっとはうまく気配消せてるかなと、思ってたんだけど。まだまだね」
「甘いね、香ちゃん」
「だから重々承知してますったら」
「まぁ、いいセン行ってたぞ。途中まではな」
「でも気が付かれたんなら、意味ないじゃない」
「気配がなぁ、違うんだよ」
「気配に種類があるわけ」
「聞きたい?」
「うん。今後の参考までに」
「それはな」
「だから、うん」
「獠、大好き♡って桃色な気配が全身から滲み出てたぜ。困ったもんだ」
「………それは……困ったわ……ね」


図星を突かれて困る香の表情は、切なげで悩ましい。
気配に気が付かれてしまったことに困ったのか。
桃色が溢れてしまっているのが困ったのか。
そのどちらもか。


「どうする?」
「何が?」
「すぐそこに安ホテルならあるけど」
「…………」
「ど?」
「…………」
「どどど???」
「…………」
「どどどどど???」


獠が少しづつ語尾を強めながら顔を近づけて来る。
無理強いをしないところは褒めてあげたいけれど、調子つかせると切りがない。
連行されるのが、イヤではないというのは……絶対に言わない、言うもんか。


さっきからシレっと人差し指の背を、あたしの腕に触れさせてくる。
言葉とは裏腹にゆっくりと上に下にと強弱をつけて撫でられている。
最初の「ど?」の辺りから。
憎たらしい、憎たらしい。
だんだんとその気になってきてしまうのが、自分でもはっきり分かって穴があったら頭から突っ込みたい。
それより穴に放り投げた方が早いかしら。
体温が上昇していることは、もうお見通しだろう。
それでも止めないから、この小さな闘いは負けられない。


「なぁ」
「………うぅるさい」
「誰かさんが返事しないからだろ」
「呆れてものが言えない顔してるだけ」
「雨宿り、雨宿り」
「大丈夫よ、雨はすっかり止みました」
「ちぇっ……せっかくいい雰囲気だったのに」


(だから擦るな、撫でるな、拗ねた顔しないでよ)


「そう思ってるのは、あんたお1人様だけみたいだけど?」
「わぁったよ。いいよ、別に(帰ってからで)」
「分かればよろしい」


(分かってないのは、お1人様だけみてぇだけど?)


「ん?なに。何か顔についてる?」


(どどど???)


「いや面白い顔してんなと思って」
「失礼ね」


獠の隣に立って話をしていた香は、アパートへ向かうため曲がって来た角へ戻ろうと獠に背を向けた。
香の腕に触れていた獠の指は、撫でている途中でその役割を終えて宙に置いてきぼり。
スイッチが切れたように見える香は、態度とは裏腹に頬は赤らんだまま。
それを気付かれないようにしている様子に、コートのポケットに入れかけた手を戻して香の腕を掴む。


「ちょーっと、待った」
「ちょっと何すんの……よ」


言葉の途中で軽く唇を重ねられて、驚いている間にくるりんぱと立ち位置が変る早業。
香は目を開けたまま景色があっという間に180度回り、背中には壁で見上げるとニヤつく獠の顔がそこにあった。


「こうするときは?」
「……は、目を……瞑……る?」
「分かっててのハテナマークか」
「もうっ……」
「開けたままでも俺は構わないけど」


ギュっと瞑った目尻の皺を眺めて、獠は静かに笑う。


ふっ
「ぴやっっっ」


飛び出たおでこに息がかけられて思わず目を開けると、やっぱりニヤつく獠の顔がそこにあった。
おでこに当てた片手を掴んでゆっくりと体の横に戻された。


「おもろい顔」
「あ、あんたも桃色出てるわよ。どうにかしなさいよ、その気配」
「そら困ったな」


ちょっと眉を下した刹那顔の獠がやっぱり憎らしくて。
仕方ないから負けてあげようと香はそんな獠の瞳に吸い込まれるように瞼を下した。


そして獠はそのまま唇をそっと近づけるフリをして、強引にこじ開けその舌を奪った。







関連記事

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

Telephone number




その間ずっと頭から離れなかったのは、たった一人のいろんな表情。
会いたくて堪らなかった。
その声が聞きたくて。



だから俺はここに居られる。





プルルルル
プルルルル
プルルルル


誰もいないリビングに固定電話の呼び出し音が寂しく響く。
電話の向こうでは、大きな身体を窮屈そうに灰色の電話ボックスに押し込める家主。
連絡を取ろうと居そうな時間にアパートに電話をしたが相棒は不在のようで。


「ど~こ行っとるんだ」

はぁ

と小さくため息を吐いて受話器を下ろし一旦電話を切った。
そして違う電話番号を思い浮かべながら、再び受話器を取って器用に耳と肩に挟んだまま太い親指の腹で小さな四角い数字のボタンを弾く。
今度は数回のコール音の後に、聞き慣れた男の低い声で応答があった。


『はい。喫茶キャッツアイでございます』

「…………くくくっ」
『!!!』

ガチャン!


獠は向こうから聞こえた怒りの籠った電子音に反応して、受話器から咄嗟に耳を離して開いている片手で耳を塞いだ。


「耳痛ってぇな。思いっきり切りやがった、タコのやつ」


気を取り直して再コールすると、1回鳴り終わる前に音が途切れた。
一瞬こちらの様子を伺うように黙った後、先に口を開いたのは海坊主だった。


『何の用だ』
「美樹ちゃん居るぅ?」
『買い物だ』
「あっそう」


美樹の名前が出た時点で、海坊主の声はワントーン低くなっていた。
不機嫌をあからさまに出してみたところで、獠は知らないフリで。


『客が来るかもしれんから切るぞ』
「俺たち以外の客、見たことねぇけど」
『ただ飲みするお前を客とは認識していない』
「せぇっかく店の味が落ちて無いか毎日チェックしてやってんのにぃ」
『頼んだ覚えはないし、その必要はない。味覚嗅覚は衰えてないからな』
「相変わらずつれないねぇ」


茶化してばかりで本題に入ろうとしない獠に、痺れを切らした海坊主が応える。
直球で聞けば良いものを、遠回しに確認してくる辺り天邪鬼は相変わらずの様子。


『………香ならさっき帰ったぞ』
「………そうか。サンキュー」
『何かあったのか?』
「うんにゃ」
『なんだ。早く香の声が聞きたかっただけか』
「ばぁか。聞き飽きとる」



***



それは1週間程前のことだ。
獠は珍しい時間帯に一人で店に訪れた―――――


「どうも昔盛られたやつに似た薬の噂があってな。何日か潜ってくる」
「香には?」
「香には教授の依頼だと言ってあるが、信じたかは正直分からんな。ミックには止めろと言われたが、国内に持ち込まれる前に始末する必要がある。それが本当にアレの類似品でも単なる流行りの薬でも、自由にはさせねぇ。俺の目の黒いうちは」
「確かなのか、その情報」
「あぁ、ほぼほぼ。情報自体は教授からだ。請け負ったのは俺の勝手。警察も情報は掴んでるらしいが、微々たるもんだろ」
「無駄死にして香を悲しませるなよ」
「誰に言ってんのぉ?」
「何かあればすぐ連絡しろ」
「香が絡むと手厚いねぇ」
「香のことは任せておけ」
「それついさっきミックにも言われたとこだ。後をあいつには絶対任せられんからな」


ふっと小さく鼻から息を吐いて笑う海坊主を見て、少し剥れた様子の獠が舌打ちをする。
ゆっくりと残りの珈琲を飲んだ後、店を出ようとする猫背の獠が小さく呟く。
言い残した言葉は、開くドアのカウベルの軽快な音に乗ってかき消されてしまった。



何があっても俺が最初で最後だっての



***



『そっちは片付いたんだな』
「あぁ、まぁな。ちょっと手こずったけど。海ちゃんも悪かったな。猫の手も借りたいくらい店が忙しい時に」
『ふんっ。お前ひとりじゃあ心許ないからと美樹が言うもんでな』
「美樹ちゃんだったら、もっとやる気になったってのに」
『香はいつも通りに振る舞ってはいたが。優しくしてやれ』
「優しくされたいから、美樹ちゃんに癒してもらおうと―――――」
『たまには休めろよ』
「弾が腕を掠っただけだ。大したことじゃないさ」
『そっちのことじゃあない。いいからさっさと家に帰れ』


ガチャン!


と再び激しい勢いで置かれた受話器の音に、獠は大げさに体を離して一人驚く。
握ったままの離した受話器を無言で眺めて口角を上げる。
切られた向こう側でもう一人の男は、嫌味を言いつつも心配する仲間を安心させるために掛けて来た電話だということは、言わなくても十分に分かっていた。







プルルルル
プルルルル
プルルルル


未だ誰もいないリビングに固定電話の呼び出し音が寂しく響く。
二度目のコールも空振りのようで。


「まだ帰ってねぇか」

はぁ

と1度目よりは少し大きめのため息を吐いて受話器を下ろし一旦電話を切った。
そして更に違う電話番号を思い浮かべながら、再び受話器を取って器用に耳と肩に挟んだまま太い親指の腹で小さな四角い数字のボタンを弾く。
今度は1回のコール音の後に、聞き慣れた女の艶のある声で応答があった。


『はい。警視庁、野上』
「余所行きの声も堪らないわねん♡テレフォンなんちゃらと間違えたかと思ったぜ」
『……はぁ。獠、あなた普通に掛けてこれないわけ?』
「普通だろ?」
『そうね。あなたにとってはね』


なるべく普通に接することに努めているのはお互い様。
そこにはキツネとタヌキの化かし合いのような駆け引きはない。
こんな上辺のバカバカしいいつものやり取りが、少し前まで沈んでいた意識を震わせ、のらりと浮上させる。
ほんの少しの間でもそこに触れていなければ、またすぐに堕ちて行ってしまいそうになる。


「で、今回の報酬は追加で頼むぜ。役に立ったろ」
『えぇ、分かってるわ。それより獠、あなた大丈夫なの?』
「なぁにが。今すぐツケ払ってもらっても全開でイケるけど。何日か風呂入ってねぇから、香しいaroma付きで」
『間に合ってるわ』
「つれないねぇ」


獠の変らない声色に、少しの安堵とそれより少し大きい不安が冴子の胸の中で交差する。
いくら平気なフリをしても、彼女の元へ帰るまでは忍び寄る淀んだ影は拭えない。
いつかふと姿を消すことも考えられる。
彼女が居なければ―――――。


『そうじゃなくて、ちゃんと戻って来れてるわよね?』
「いらん心配せずに、業務に励めよ、野上刑事」
『香さんとはもう話したの?』
「うんにゃ、あいつ電話に出やしねぇ。どこほっつき歩いてんだか」
『獠』
「ん?」
『ありがとう。あなたのお陰で未来を救われた人がいるのよ』
「冴子」
『なぁに』
「センチメンタルがとことん似合わねぇのな」
『余計なお世話よ。じゃあ、また連絡するわ』
「あぁ」
『香さんによろしくね』


ガチャリ。


「よろしくね、か」と小さく呟いて、そのまま3度目のコールを掛けた。







プルルルル
プルル


『はぁい。冴羽商事です』


と少々間延びした相棒の応答に、急に日常が戻って来た気がして口元が緩んだ。
聞かせてほしかった声が真っすぐに耳に触れてきて、なんだかこそばゆい。


「…………」
『もしも~し』
「よぉ」
『…………』


香は聞きたかった久しぶりの声に、不安が押し退けられたと同時に胸が激しく跳ねた。
獠が出掛ける前に告げた「教授の依頼」がどんなものかは、薄々気が付いている。
関わらせようとはしない様子に、それ以上聞いても無駄なことだとすぐに悟り。
最近はほとんどのことに関りを持たせてくれている。
それでも連れて行かないからと躍起になることは昔よりも少なくなり、賢くはなっているかなと勝手に思っている。
それは決して聞き分けがいいのではなく、行かずに帰りを待ってこの場を守ることもパートナーとしての務めなのではないかと考えるようになっていた。
こんな時は聞かずとも、獠が自分にそれを望んでいると感じるから。
それが自分を誤魔化す都合の良い言い訳でも、悪くない嘘だと。



「もしも~し」
『よぉって、何日も連絡寄越さずに。なにその呑気な返答は』
「あらそんなに心配してくれてたの?香ちゃん」
『しないわよ。何年獠のパートナーやってると思ってんの』
「タコもお前もつれないねぇ」
『なんでここで海坊主さんが出て来るわけ?』
「いやこっちの話」
『……ちょっとだけ。ほんのちょっとは心配したわよ』
「可愛げのないお返事だこと。リョウちゃん悲しい」
『もうバカ言ってないで、早く電話切って車に乗るっ!』
「はいはい」


まったくぅと電話の向こうで吐かれたため息が、電話線を伝ってじわりと熱が運ばれて来たように感じた。
呆れながら小さく笑う口元が脳裏を掠める。今すぐにでも手を伸ばしたくなるその隣に自分の姿を映して。


「香」
『なに?』
「腹減ってんだけど。今日、何?」
『中華』
「っちゅーか、中華か」
『ぷっ、なにそれ。オヤジギャグか何かのつもり?』
「俺はハタ―――『もうすぐ2回目のハタチでしょ』」
「ばかやろっ」
『獠』
「ん?」
『早く帰って来なさいよ。待ってるから』
「………」
『獠?どうかした?』
「りょーかい」


軽快なやり取りの中に居て、少しずつ帰る現実に引き戻される。
目に見えず手に取ることもできないその強い引力の糸に引かれるまま意識を任せる。


ガチャリ。


受話器を置いた獠は、それを眺めながらすっと瞼を下した。
そして大げさに深呼吸して酸素を体中に巡らせる。


(お風呂にする?食事にする?それとも、あ・た・し―――――)


ふっと口元を歪めて笑う。


「なんてまだ無理かぁ。無理だよなぁ、初(うい)な香ちゃんには。あぁ、いかん。数日軟禁されてやったのと、今のでくらくらするな」


待ってるから


「帰るとしますかねぇ」


おかえり


といつものように笑って迎えてくれる
あいつと居る俺の日常へ



電話ボックスから出た獠は、街の香りを吸い、沈む太陽の明るさに目を凝らす。
そして脇に停めたクーパーに乗り込み、新宿へと向かう。



***



でも今夜は泣かれても我慢できそうにない。
たぶんまた黙って受け入れて、好きにしていいよと言うんだろう。
俺がその優しさや好意に甘えているのは今も昔も相変わらず。
呆れられても飽きないから、どうしたものかと自分でも可笑しくて笑ってしまう。


やっと繋がった想いを大切に壊さないようにと思う反面、
こんな時は我ながら非情で最低だとは思うけれど。
欲情に駆られて壊してしまいたいと激しく体が主張する。
電話越しの少しくぐもった声を聞いただけでイキそうになるのは、
自分でも分かりやすい精神危険領域到達間近。


「辿り着けねぇかもよ、…………中華に」


ただただ悲し気に儚げに苦し気に、俺を受け入れる。
そして最後には静かに笑う、こんな時はいつも。


息を殺して堕ちる前に、再び新鮮な現実の世界へと連れ戻してもらうために
すぐ隣に潜む暗闇に灯りを包(くる)んで見失わないように、この薄汚れた腕の中に囲って。


今この時を逃したら、次なんて分からない。
二人が当たり前の毎日に生きる価値がある。
やりきれない朝を迎えたとしても抱いて眠る。
散らばった破片を拾い集めて、己を再編させるために。
堕ちてくすんだ破片の表面を洗い流してもらいながら。





早く家に帰ろう。





いつもと変わらない明日を迎えられる場所に。





そして開いた扉の先にある、愛する者が全て。










関連記事

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

プロフィール

Author:azu
azu と申します。
シティーハンターの二次小説を書いてみたくてこの度サイトを開設しました。
原作終了前後を行ったり来たりの薄味サイトでございます。
二次の世界の隅っこでもそもそ。
No CH No Life♡
(From:2016.6.28)

カテゴリ
訪問者様
最新記事
検索フォーム
リンク
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文: